きれいな沈黙が欲しい。
非常階段の中央に空いた吹き抜けからずっと下を見下ろしながら思う。
饒舌な人の思想はどうしていつもあんなに間抜けなのだろうと思う。
結末はひとつしかないし、それをあなたが変えることはできない。

世の中に不満があるなら自分を変えろ。 それが嫌なら耳と目を閉じ、 口をつぐんで孤独に暮らせ。
—— 攻殻機動隊

ノート375

ウェーブ。あなたはどこにも行かないと言う
鼓膜の奥がそれを否定する
ずっと私の身体から出たくないと言う
音叉のように呼応する
同じ周波数で私はあなたに呼応する

ノート374

距離を埋めるために距離を捨てることはできない
ここからまたどれだけ進んで 私
後ろにあなたの気配さえなくなって
ある日思い出したように振り向く
そうしたらきっとそこには一面沈黙の海面が
ほの暗い背徳を揺らめかせて 私
あなたの気配を探してしまうだろう

絶対的なものに繋がれたいと吠える
感覚に触れるものはすべて離れる前提があるから触れる
そうじゃない
そうじゃなく
もっと確固たるもの 確実なものに私は繋がれたい

ノート373

言葉とはなんて頼りがないのだろう
だけど言葉に頼るしかすべはない

顔をあげて歩こうかなそろそろ

ノート372

きっと
私はこのまま縁取りをなくしてしまうんだ
それは
もうどこへも行けないということなのに
なぜか
どこへでも行けるというように
思えてしまうんだ

ノート371